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『 ● ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー それは魔王討伐への旅の舟に乗っていたときのことだった 僕は船の甲板に出て、波に揺られ潮の香りを楽しんでいた しかし、背負っている剣のことが気になりだす、、、錆びないとは言われてるが 潮の空気に触れていては錆びることもあり得る 心配になったので剣の手入れを始める すると、そこにひとりの船乗りがやってきて、僕に話しかけた ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ガキには似合わねぇ長剣だなぁ、小僧、、そんなもの、振れやしねぇんだろ??? ん???ああ、まあね ふっ、 振れもしない剣でどうしようってんだぁ?? その剣で魔物狩りかぁ??冒険者も、ほどほどにしとくんだな 問題を起こす雑魚の魔物を狩って、ちょっとしたお小遣い稼ぎ…… そりゃあ、ガキにはそんな小遣いも大金に見えるんだろうな??? だが、そんな小遣い稼ぎが原因で死に至ることもあるぜ もちろん、雑魚の魔物なら、俺たち海の男だって頑張りゃなんとかなるもんよ なんてったって海の仕事で鍛えた自慢の筋肉があるからなぁ…… だが、そんな雑魚の魔物の中にも魔王様のお気に入りが混じっていることもある もしも、そんな魔物に当たったら??? まあ、小僧じゃ、その魔物にすらやられちまうだろうがな もしも、大きな傷を負いつつも、なんとかかんとか倒せたとしよう…… そしたら、魔王様はお怒りさ、魔王軍を動かして、倒したお前さんを、確実に殺すね どんなことをしてでも殺す ● ガキの泣き言、命乞いだって聞きやしねぇさ、ギタギタにして、見せしめに吊るし首よ それが魔王軍ってもんだ、どうだ???びびったか??? この船の行き先には、魔王様の配下の魔物が多いぜ、魔物狩りはやめておけ ビビったんなら故郷にでも帰んな、帰りの便も乗せてやるよ 小遣いをちょっと渡してくれりゃあな、くくくっ…… いや、いいよ…… あーん???俺は親切心で…… どーんっ!!!!!! な、なんだぁ???? 激しい波が船にぶつかった、波が大きく船を超え甲板までをも水浸しにする そして、海水が 引いていくと、そこには…… ひいっ!!!!ま、魔物だぁ!!! 船乗りのひとりが、叫び声を上げて腰を抜かせている その目の前には…… なんだ……ただのヒトデじゃないか…… 甲板上に、何匹もの大きなヒトデが転がっている いやっ!!!ただのヒトデじゃない!!!近づくだけで人間を食らってしまう人喰いヒトデだ!!! みんな!!!近づくんじゃねぇ!!! 一瞬でやつらに食い殺されるぞ!!! それに、魔物を倒すと魔王様がお怒りになるかも知れんぞ!!! ● ひ、ヒトデ……!!!もうだめだー!!! やめてくれー!!!死にたくねぇよー!!! 船乗りたちは戦々恐々といった様子だ 肝心のヒトデは、特に動いてもいない、時々、ぴくりと反応はするが…… どうして……!!!どうしてこんなことに!!! 本当だったんだ!!!この海域には、死の魔物が出るっていうのは!!! ざばんっ!!! すると、そこに海の中から現れる影があった、マーマンだ!!! もしかして、魔王軍に所属するマーマンか!?? マーマン語なら、俺分かるぜ!!!昔、勉強したんだ いや、私は公用語を話せるマーマンだ、通訳は必要ない あっ、そうですか……… マーマンは、船の上のものたちみんなに叫ぶように話しだした この中に勇者がいる!!!魔王様に逆らおうとする、反逆者がいる!!! 勇者を匿う、この船を魔王様は、船ごと沈めておしまいになるつもりだ だが、大人しく勇者を突き出せば、お前らの命だけは助けてやろう、期限は3分!!! 我々の背後には魔王軍がいる、さあ、勇者を連れてこい!!! な、なんだって!!!勇者だって!!! 勇者を名乗っているやつはどこだ???どこにいる!!! ● もしかして、小僧………お前、自分が勇者だなんて、触れ回っちゃいないだろうな??? ええ、いや、うん…… なんだとぉ………!!! 小僧、勇者ってのはなぁ!!!遊び半分で、名乗っていいもんじゃねぇ!!! 名乗れば即座に、魔王軍から狙われる!!! ちょっと勇者が格好いいからって名乗ったが最後、お陀仏だ 憧れる子供には、みんながやめさせる 俺たち人間は、魔王様にだけは逆らっちゃあいけねぇ!!! そうだ、そうだ!!! 小僧、お前が勇者というだけで、俺たちの命が危険に晒されるんだぞ 小僧、悪いことは言わねぇ、今から、魔王軍に向かって謝れ!!! そうすれば、俺らの命は助かるかもしれねぇ、小僧の命は無くなるだろうがな そうだ!!!謝れ、謝れ……!!! あーやまれ、あーやまれ!!!あーやまれ、あーやまれ……… ふん、雑魚共が………知らねぇよ、僕は おい、小僧、なにしてる!!! 遅い!!!さあ、もうすぐ、3分経つぞ!!!勇者はまだか!!!もう、時間切れだ!!! 勇者が来ないならば、魔王軍の海で、最強の魔物が相手になるぞ その名もクラーケン!!!イカの怪物!!!舟をまるごと食らう、最強の化物 お前らはそいつの腹の中に収まって死ぬのさ ● 来い!!!クラーケン!!!ぴゅううううううう……… では、さらばだ!!! 笛を吹いたあと、マーマンは飛び込み、、海の中に、消えた ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー クラーケン………???あの伝説的なモンスターがこの船を襲う??? クラーケン、クラーケン………!!! クラーケンが来る!!!クラーケンが来るぞー!!! もう、全部おしまいだ………!!!終わりだー!!! だめだ!!!俺たちはヒトデを倒すことすらできねぇのに!!! クラーケンなんかが襲ってきたら、どうすればいい!!! 船の大砲だ!!!船の大砲を使えば!!! 大砲???おれたちゃ海軍でも海賊でもねぇ、ただの商船の船乗りだ……!!! そんなもの積んじゃいない!!! ミシミシミシ……… な、なんだ???なんの音だ??? 舟が軋む音だ!!!ついにクラーケンが来たんだ!!! 見ろ、クラーケンの足が海から出てきたぞ!!! でかい、とてつもなく………!!!巨大な触手だ!!! ああ!!!舟が、俺たちの舟が!!! 周りを10本の足で取り囲まれちまってる!!! ● なあ、小僧!!!俺たちも謝る!!!魔王軍に土下座する………!!! だから、小僧、お前も謝れ!!!謝ってくれー!!! 俺は助かりたいんだ!!!頼むよ………!!! ………ちょっと、潮風が目に染みるな……… はあ???何言っている小僧、!!、 僕は、舟の中へと通じる階段を降りていく お、おい、どこに行く!!!謝らないのか??? せめて、クラーケンと戦え!!!仮にも勇者を名乗っているんだろう??? ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 舟の中に入っていく僕に付いて、船乗りが呼び止めようとする 舟の中で仮眠でもとろうってのか???こんなときに………!!! ミシミシミシミシッ……… ボーン………!!! うわっ!!!船の壁から海水が!!!亀裂が 入ったんだ!!! このまま力を加えられたら、舟は真っ二つにされて、沈む………!!! 沈む!!!沈むーーーーー!!! しゃきん………!!! 僕は、背中にさしていた長剣を、引き抜き、その刃先を天に向ける そして、はあっ……と一息を入れた 次の瞬間、剣を逆手に持ち替え、振りかぶって、剣を船底に突き立てた………!!! ずぅうううううううんんん………!!! ● お前、そんなに深々と剣を………!!!なんのつもりだ??? うおおおおおおおおおっ!!! ん???どうしたんだ???なんの歓声だ??? 外にいる船乗りがそれに応える 舟の外の10本の触手が、ビクッと動いて止まっちまった……!!! いや、離れていく………!!!クラーケンの足が、舟から離れていくぞ!!! まさか、小僧………!!! そうか、ここは船の一番底……… 舟の底に張り付いているクラーケンの本体をその剣で、 船板ごと貫通して、突き刺したってのか!!?? そんな馬鹿な………!!!いくら長い剣だからって、そんなこと……… 手応えを感じる………この剣は、深々と、クラーケンの身体の中心に突き刺さった さしものクラーケンもこの一撃で、完全に沈黙したようだ やっぱりこの剣の切れ味は最高だ、海の潮でも錆びついちゃいないな…… ずばっ!!!かちゃんっ……… 突き刺していた剣を、引き抜くと、背中の鞘へと収める クラーケンは、足を力なく投げ出し 海の波にさらわれて、ぷかぁっと、、、海面に広がって浮かんだ すげえーーーー!!!!!本当に勇者だったのか!!!この小僧は………!!! 死の魔物、クラーケンを一撃で仕留めちまった!!! ● 凄い!!!最強の魔物の一角だぞ、魔王様の側近の一匹を退治しちまったー!!! 頼む!!!俺は人喰いヒトデが怖い!!!早く助けに来てくれぇぇぇ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー その後、ヒトデたちは魔物でも何でもなく、ただの海産物であることが分かった だが、船乗りたちは怖がって近づこうとせず 勇者が一匹ずつ剣で丁寧に、退治したのだった すげぇ!!!流石勇者だぜ!!! ヒトデの魔物を全部ひとりで!!! 俺たちがあんなに手こずったヒトデを………やるじゃねぇか、勇者!!! 俺たちの英雄だ!!! わーーーーーーーーっ!!!! 勇者様、ばんざーい!!! その夜、船乗りたちの勇者を中心とした宴は、激しく盛り上がり 喜びが収まることがなかったという 』 |