Hello World!!
サイト開設!

---------まいほーむ---------








―――――――――――
ホーム
わんこと遊び
小説置き場
―――――――――――
グーグル先生


●主人公、戦う

お兄さん、ちょっと寄ってかない???
サービスしちゃうよ!

いやー、寄らせてもらおうかな

どうぞどうぞ!!7000ゴールドになりまーす

はーい!

あっ、じゃあまずここで悪魔ビールでも飲んでね
あとおつまみにとうもろこしなんかどうかな

とうもろこし!これで7000ゴールドは高いなぁ……
あとに期待していいんだよね??

一気、一気!

まいったなぁ

ぐびぐびぐびーーーー

ざくしゅ………

ぶふぉおおおおお………

うちのサービスです!いかがですかぁ??

い、痛い、、、背骨を断ち切るとは

…………

不意打ちとは卑怯者め、、、

私が、あの不死身の邪神、ゾーク様の直近の手下であると
知っての行動だろうな

この行動は高くつくぞ

死ぬ前に、私のしもべを呼んだ
お前の命はあとわずかだ………

ばたっ………

主人公は、小さな体格に似合わぬ
長く鋭い剣を、死体から引き抜いた

はい、約束の1000ゴールド、ありがとね

おう

しもべがくるって言ってたわね、、
店の中でやらないでね

●しもべ戦

さすがは自慢するだけあって
強いしもべがいた

合成獣キマイラ
空飛ぶ翼の四つ足ライオンに、ワシの頭、大蛇の尻尾

ライオンの頭は標的の主人公を一睨みする
こいつは何人もの人間を食らってきたひとぐらいの化け物だ
よほど人間の味に飢えているのだろう

じりっ………

お互いに隙を伺いながら、じっと立ち止まる

先に動いたのは、キマイラの方だった
四本足で地を蹴り、駆けて襲い掛かってきた

もしそのまま、キマイラの好きにしていたら
主人公は覆いかぶさるように食いつかれ
そのまま、絶命していただろう

しかし、そうはならなかった

主人公は、キマイラが駆けてくるそのさなか
頭上にある空中に、ぽいっとあるものを放ったのだ

それは一本のとうもろこしだった

それを見て、ライオンは何を思ったのか
胴体につながれた大きな翼を羽ばたかせ
ふわりと浮かぶと、空中のとうもろこしに突進した

キマイラは明らかに混乱していた
地に着かない四本足をじたばたと暴れさせ
ライオンは、何もない空に向かって噛みついていた

実を言うと、キマイラは、地の四本足はライオンの頭が動かしていたが
その胴体についた空の翼は、ワシの頭の意志によって動かされていたのだ

統率の取れていない二つの頭
しかし、ワシの頭は、空中で見事トウモロコシをキャッチした

その瞬間、キマイラの胴の下で待ち構えていた主人公は
自分の両の手で持つ長剣を振りかざし、勢いよくジャンプして、キマイラを叩き切った

ライオンの頭の間から、胴体、そして尻尾の大蛇の体を真っ二つに割くように
ずばりと剣を通していく主人公

そして主人公は剣を振り下ろし終えて、着地すると
キマイラの体は一刀両断のまま、血を赤々と噴き出して倒れてしまったのだった

●悪魔警察に追われる

キマイラ殺しから、家への帰り道
一張羅のマントにキマイラの返り血がついていたせいで
すぐに悪魔の警察に呼び止められた

事件のこともすぐに発覚し、さあ、取り調べの時間だということだ

あーきみ

悪魔殺しは重罪、、、、ということもない
日頃から悪魔は殺しあっているから
死ぬのは日常茶飯事だ

それに人間を裁く法律はあまりない
悪魔の世界には、法律上、奴隷となった人間以外存在していないからだ

ペットのようであるキマイラ殺しも
キマイラ自体が違法であるからして、大きな罪には問われないだろう

ということは、僕は犯罪者ではないということですか??

密入国者の殺し屋、としてキミを裁くことはできる
しかし我々は、狭い個室に何年も閉じ込めるような非人道的行為はしない
せいぜい、悪魔にばらばら肉にされて、食べられるくらいだろう

食われたくはないなぁ

それにしても、きみ、よくやったね
ゾーク様の手下を倒してしまうとは、さすが勇者だ

あいつは雑魚でしたよ、ペットの方がよほど手ごわかった

ゾークの手下ということが重要なんだ
我々警察としても、不死身のゾーク様は怖くてね
勇者たちが頑張ってくれれば、
うれしいことが起こるかもしれないなんて思っているくらいだ
おっと、私としたことが恐ろしいことを口に出してしまった
このことは内緒だぞ

さあ、解放してやろう、いきなさい

どうもー

●逃げおおせて一服

美味い、さすがだな

人間の肉は美味いか???勇者さんよぉ
人骨からだしを取った特製人間スープだ

もう食べなれたね、しいていえば目玉がとろけるようで美味い

意外にマニアックだねぇ
心臓がおいしいっていうのが王道だよ??
筋肉が好きなやつがいれば
耳がこりこりしてて美味しいっていう人もいるねぇ

まあ、食べるなら年頃の女にかぎる
男はいけねぇよ、
使いもんにならないから、モンスターの餌だ

モンスターって家畜のことか???

オークやらミノタウロスはもちろん、肉が美味いからな、食わせるが
最近はもっと変わったモンスターが市場に出回ってるんだぜ
どうも、どこかの研究所が作り上げたものらしい

強いってんで、悪魔たちがみんなペットにしたがってる
そいつらペットに人間の男どもと戦わせて、食らわせるってわけよ
どうだい、面白い趣向だろう

強いモンスター、研究所ねぇ

●マグマ風呂

主人公は、一日の疲れと血の匂いを落とすため
風呂屋にやってきた

ここの風呂は、悪魔のためのマグマ風呂で有名なのだが
人間にはマグマなどには入ることなどできない

マグマ風呂の横に湧いた、魔法の込められた回復の湯があるので
そこに身を沈めた

おいおい、人間さんよぉ
そんなぬるい湯に浸かってて気持ちいいのかよぉ??

まあ、人間のための湯だからなぁ
みんな奴隷の人間は、そこに入って
悪魔の世界での唯一の楽しみを味わうんだろうが

あんたは見たところ奴隷じゃなくて勇者のようだな

最近は人間界からくる勇者が悪魔の街に市民権を持つ例が増えてるらしいね
確かに邪神ゾーク様を倒すことは俺たち悪魔にとっても有益なことだ

ゾーク様はなにかあればすぐに悪魔たちを殺すうえに
美しい女たちはみんなゾーク様のもの

みんな少なからず邪神へ対する嫉妬があるのさ
不死身の邪神がいなくなれば、自分が権力を持つこともできるかもしれない

それでみんな人間勇者に倒すことを期待してる

ほんとはゾーク様がいなくなっちまったら
神と人間たちが力をもって、悪魔たちもただじゃすまないってのにな

ゾーク様が、最初の神を倒して封印してから、もう100年にもなるなぁ

神の子供たちや人間たちが、ゾーク様と戦って
神を取り戻そうとしているが、いまだ目立った成果はなしらしい

不死身のゾーク様がやられることはあり得ないし
ゾーク様の子供たちである悪魔やモンスターも
最近は強くなって、神の子供たちにも対抗できるらしい

特にモンスターが強くなっていっているって話だが
どうもゾーク様の敷地内にモンスターの研究所があるって噂だ

そこでモンスターが強化されているのなら
勇者たちも黙ってみてるわけにはいかねぇよな

噂を聞いた勇者たちが、そのモンスター研究所へ何人も出向いていったが
誰も帰ってこない
著名な勇者も、帰ってこない

なにかあったんだろうが、だれも帰ってこないんじゃ
さっぱり情報がつかめねぇなぁ

●モンスター研究所

次の日
ゾークの所有しているモンスター研究所にやってきた主人公

ここのモンスターたちはゾーク配下の
人間たちの手によって研究されているという
なぜ悪魔を使っていないのか???

入り口を入り、奥へと進む
通路には、触手がうねうねとしている大きな試験管があった
未知のモンスターの研究がなされているのだ

その中には、倒したはずのキマイラの姿もあった
あのキマイラも、この研究所の生まれだったのか
ゾークの所有物だったキマイラを
手下がなにかの褒美でいただいたのだろう

近くの机の上にある、研究書を手に取った

要約するとこういう内容だった

ここのモンスターはあまたいる悪魔たちにはない
ゾーク様の不死身の遺伝子を継いでいる

しかし、不死身の遺伝子によって、
モンスターたちは、強力にはなりはしたものの
不死身となったわけではない

不死身の遺伝子を増幅してもっと手軽に、
あらゆるモンスターを不死身にすることはできないだろうか
研究を推し進める

●勇者の骸

試験管の部屋を抜け、さらに奥に進むと、広い空間があった

そして、そこには山のように人骨が散らばっていたのだ
バラバラにされ、しゃぶりつくしたようにスカスカになった人骨の山

これはすべて、勇者たちの骸なのだろう
腕などは引きちぎられ、おぞましい死体になっている
よくみると金属鎧に身を包んだところだけは、肉と骨が残されていた

なかには、全身金属鎧の死体もあった、欠損がない

ちょうどいい、こいつの鎧は頑丈だ
いただいてしまおう

主人公は、一番高く売れそうな鎧を死体から剥ぐと
今着ている、安物と着替え始めた

血なまぐさいが役に立つ、こいつはちぎれなかったみたいだからな

だが、どうしてそれでもこの鎧の主は死んだのだ??
裸にした死体をひっくり返して、良く調べてみる

なんとその死体は、著名な勇者のものであった
こいつは、冒険手帳にも何度か顔の出す勇者じゃないか、

死体には、大きな牙が食い込んだような跡があった
その傷跡の周りはすべて、紫色の変色が起こっていた

これはある種の毒だろうか
金属鎧の方も調べると、なんと厚い金属に穴が開いている
傷跡と同じ位置に、焼け焦げたような大きな穴があった

●地獄の門番

主人公が、厚い鎧に着替え終わり
相変わらずの長い剣を持ち直したとき

そんなものに着替えたって無駄なものは無駄だ!
こいつの牙の毒はあらゆるものを溶かし、絶命させる!

現れたのはひとりの白衣の男だった
ここの研究員なのだろう、なぜか体に多くの傷跡のある男だ
一匹の大きなモンスターを従えている

この研究所に忍び込むものはみな、こいつの腹のなかで
眠ることになるのさ!!

さあ、我々の研究の結実を見るがよい
侵入者を噛み殺せ、ケルベロス!!

なんて大きな犬だ、それも三つ首の……

地獄の門番、ケルベロス

三頭犬は三つの頭に一つずつ、計三つの首輪をつけていた
そのいずれにも鎖がかけられており、柱とつながっている
こちら側にはこられそうもないのだが

ばきん、ばきん、ばきん!!

ケルベロスの強大な力により、首輪の鎖がはじけ飛んでいく
なんのための鎖なんだ!

ケルベロスは鎖を引きちぎると
目の前の獲物目掛けて、飛び掛かってくる

まいったな、、、

まだ距離がある

前はとうもろこしでよかったんだけどな

残念ながらケルベロスの餌になりそうな
ドッグフードなんか持ってはいない

しかしちょうどいいものがあった
地面にはいくらでもおもちゃが転がっていたのだ
人骨、それもなるべく美味しそうなものを、選んだ

とってこーい!!

くるくるくる、ぽーい

ケルベロスは三つの首で飛んでいく骨を追うが
すぐにまた主人公の方へ、視点を戻す

あー、やっぱ訓練されてるな
それとも僕の方がおいしそうだったのかな??

ばかめ!ケルベロスがいうことを聞くのは私だけだ

●迫るケルベロス

さあ、行け!!殺せ!

ケルベロスが、ひたひたと迫ってくる

ケルベロスの倒し方を必死で考える主人公

しかし三頭の犬の頭、そのどれを切っても
残り二つの頭が、主人公に噛みついてくるだろう

腐敗した毒の牙が鎧を焼き貫き、肉に食い込んだその瞬間に
もう命を失うことは免れられない

毒の牙……そしてこの剣……
しゃーない、ここは我慢だ

さあ!かかってこい!

主人公は剣を左後ろに構えると、ケルベロスを挑発する
ケルベロスは、にやりと笑うと
前脚と後ろ脚を、大きくけりだし、主人公へと噛みつきに来た

今だ!!!

主人公も、大きく足を蹴りだし、素早く潜り込むようにケルベロスの右手に回る
そして、左後ろに構えていた剣を振り回し、ケルベロスの右の首に当てた

がきんっ…………

主人公は、ケルベロスの右側に立ち、剣にぐっと力を入れる

その剣は、ケルベロスの右首の大きな牙と牙の間に、受け止められ
挟み込まれるようにして止まってしまった
右首と剣が相打ちに終わり、主人公にはもう武器も何もない

そこに迫るのは、ケルベロスの正面の首だった

主人公は、両手に握っていた剣から、左手を離し
ケルベロスの牙を左腕で、受けた

がぶっ………じゅううううううう………

●焼ける左腕

金属の焼ける匂いがする、それに肉の焼ける匂いもだ
左腕は、もうこれで使い物にならない

残る一つの首は………
幸いにも、ケルベロスの左首は、ちょうど主人公に届かぬところにあった
主人公が、そういう位置取りをしたのである

左腕に噛みついている真ん中の首は、がっぷりと噛みついて離さないといわんばかりだ
しかし真ん中の首は必然的に、左腕から動けない

そこで主人公は、剣を持つ右手に力を籠める
牙と牙の間に挟まった剣
しかし、それから横に力を加えると……
牙と牙の間をすべるように、剣が右から左に突き抜ける

そして、その長い剣は、真ん中の首の骨をぐさりと貫いた

ぎゃおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

決まった………!

肉を切らせて骨を断つとはこのことだろう

しかし、主人公の負った毒も回りが早い

なぜだ!?なぜ剣が溶けない!ケルベロスの毒はすべてを溶かす!

溶かせないものもあったんだろうさ

主人公はそういうと、右に少し倒れこむ
真ん中の首に刺さり、右の首の牙の間に入っている長い剣を
するりと横から、引き抜いた
ケルベロスの首から血がほとばしる

そして、その剣を引き抜いた反動を利用して、くるんと右回転し
こんどは、ケルベロスの左首に剣を叩きつける

かきーん………

その攻撃は、左首の牙に、たやすく弾かれてしまう
しかし、そこで不思議なことが起こった

ケルベロスが、剣の衝撃によろめいたのだ
がくっとひざを折り、どさっと伏せこんだ

●ケルベロスの弱点

白衣の男はケルベロスの様子に動揺する

ああっ、真ん中の本体がやられたせいで
身体のコントロールができていないのだ

主人公は、いったんケルベロスから距離を置いた

左右の首は、普段は体を動かす役目にない
本体だけを狙い打ったおかげで、ケルベロスの行動を封じることができた

しかし、つらいな………
左腕の毒の痛みがだんだんと激しくなっていく

おい、そこの白衣の男!!解毒薬をくれ、持っているんだろう??

持っていない

嘘をつけ、その無数の顔の傷、ケルベロスに噛まれた跡だ
それにおまえはケルベロスの訓練士
解毒薬を持っているはずだ

……………

まだ、終わっていない、ケルベロスは復活する!!

白衣の男は、懐から、なにやら銃のようなものを取り出す
先端に注射器のようなものがついている

ケルベロス!!!!

白衣の男は、それをケルベロスに向けて発射した
ケルベロスの体に刺さった注射器内の薬剤は
みるみる体内に入っていく

動くこともできず、足を折り曲げていたケルベロス

しかし薬剤が入ることにより
様子がおかしくなる
体中が震え、ジタバタと手足を動かしだした

ふはははははははははは………
これがゾーク様から生まれた不死身の遺伝子薬
その改良版だ

ケルベロスには初めての投薬だが、仕方がない!

さあ、立ち上がれケルベロス!!

●不死身の遺伝子薬

首の骨を断ち、死んでいたはずのケルベロスの首
その傷がみるみるうちにふさがっていく

ぴくりと、反応を示した首
どうやら、骨が繋がったようだ

身体を動かそうと、両足を踏ん張り、大きな巨体を持ち上げた

がおおおおおおおおおおおお!!!!

このまま、動き出すのか???

どさっ………

そう思われた時
ケルベロスは、再び足の力を失い、その場に倒れこんでしまった

真ん中首は眠り、右首と左首は、悲しそうに鳴いている

なぜだ??首の傷はふさがったはず、、、

にやり、と主人公は笑う

気づいていなかったのか??ケルベロスは自分の毒に侵されているのさ

毒だと???あっ、まさか……

そう、俺の剣が牙の間をすり抜け、首に突き刺さった時
あの時に、俺の剣は牙の毒を吸収し、そしてケルベロスの首へと毒を運んだんだ

不死身の遺伝子も毒には勝てなかったみたいだな
より急所に近い首に毒が回った分、ケルベロスの方が先に倒れたというわけさ

毒を以て毒を制すとは、まさにこのことだな、と思ったが、主人公は言わないで置いた

自分の毒にやられてしまうとは………、だが、まだ………

白衣の男は、白衣のポケットから再び、薬剤の入った注射針を取り出した

おっと、それは待った

いつの間にか主人公は、白衣の男の目の前に立っていた
白衣の男の顔に長い剣の切っ先を突きつける

それが解毒薬だな??渡してもらおうか

くっ、、、くそぉ!!!

●白衣の男

左腕全体まで広がってきていた毒の痛みも
すっかりと引いて、楽になった主人公

白衣の男はその場に残されていた鎖で、ぐるぐる巻きにされていた

人間のくせに、なぜ邪神ゾークの肩を持つ
同じ人間の仲間である勇者たちを、ケルベロスの餌にしてきたわけは???

ゾーク様は私に研究所をくださった
そこで思う存分モンスターの研究をしろと

モンスターの研究をできる喜び
それにゾーク様の望む実験に成功すれば
報酬は思いのままだった

ゾーク様は邪神であるが、神は神、私は彼を深く信仰しているのだ

ゾークの望みとはなんだ

ゾーク様は神に逆らい、原初の悪魔とモンスターをおつくりになられたお方
しかし、そのモンスターが簡単に人間にやられてしまうことを気に病んでおられた

そこで自分の遺伝子を提供して、モンスターを強くすることを考えたのだ

主人公は、近くにあった実験棚から、先ほど見た色の薬剤を発見した

これがゾークの不死身の遺伝子薬か
モンスターの力の秘密、強くなる薬だな

改良版と言えど、それはまだ完成していない
なにせケルベロスの毒さえも防ぐことができないのだからな

神に遺伝子など存在するのか??

もともとの神には実体など存在しない
しかし神の生み出した邪神ゾーク様は、実体の伴った生物だった

さきほどゾーク様が原初のモンスターをつくったといったが
ゾーク様自身が、神に作られた最初のモンスターでもあるのだよ

そして、そのモンスターは神をだまし
闇の呪術によって、封印せしめたというわけだ

ゾーク様は、神が自分に与えた、不死身の能力の正体を
いたく知りたがっておられた

それさえわかれば、神の子供たちや人間を
簡単に強くなったモンスターで侵略することができるからだ

また、自分の体をさらなる不死身へと昇華させることが
できるとも言っていたな

さらなる不死身??ゾークは不死身だと聞いていたが
完全なる不死身ではなかったということか??

●邪教の教会

夕方、研究所からの帰り道、主人公は
地獄の火山に沈んでいく夕陽を見ながら歩いていた

すると、その夕陽をバックに一つの黒い影が飛んでくる

ゾーク様がお帰りだぞー

大きな翼をつけたその影は、だんだんと大きくなっていく
そして、ある建物の上で止まると、羽ばたきを止め
すうっと降りて行った

そこはゾークの宮殿、そして教会であった

今日もあの教会の祭壇には、美しい人間の女がささげられる
そして、ゾークの宮殿へと招かれるのだ

羨ましい、、やっぱ倒さないと………

主人公が勇者になった理由はそれである
ゾークへの嫉妬が、邪神を倒すという目標になったのだ

自分も美女を捧げられる存在になりたい
そう、勇者なら………!

主人公は勇者として、ゾークの殺害を決心する

華々しく勇者となる自分を想像しながら
ゾークの教会を目指した

重々しくまがまがしい教会の鐘の音が響いてくる
これがゾークの帰還、そして玉座へと帰ったことを示す合図なのだ

てくてくと歩き、とうとうたどり着くゾークの教会
主人公は、教会の入り口の扉を開いた

●美女の生贄

教会の入り口を入って、まず目につくのは
邪神ゾーク、その人をかたどった悪魔像であった

その大きな像は実物大スケールであり
普通の悪魔の三倍ほどの巨大さだ

このような邪神の巨大さをみるだけで、逆らおうとする気さえ起らなくなる

そして教会の像の目の前にはおおきな生贄用の祭壇があった
祭壇の左右から入口まで、邪悪なる火のともった大きな燭台が、
教会のじゅうたんを照らしている

教会の椅子には、数々の悪魔たちが集い
邪神ゾークへの祈りをささげているようだ

もちろんゾークへ祈りが通じるようなことはないのだが
悪魔がゾークへの忠誠を示す伝統的な方法であるので、みなならっている

ここの悪魔は基本的にゾーク派で、従順に付き従う良性の悪魔だ

しかし、ここにはゾークに逆らう、重要な仲間がいた

やあ、よく来たね、待ってたよ

それは、この教会の主の悪魔、邪教神官であった

●神官の話

ゾークはさらなる不死身を目指す、そう言ったのか

確かに完全なる不死身の存在などいないのかもしれないな
不死身だというのは、ただ今まで一度も死ななかったというだけだ

ゾークと言えども、頭にある脳を破壊してしまえば
死は免れられんだろう

今まで戦いを挑んできたが
身体を傷つけたものはいても、脳を壊したものはいない

やってみる価値はあるかもしれん

いい話を聞かせてやろう

悪魔たちの伝承や邪教書では
ゾークは百年前、神を封印したといわれておるな

その封印は、自分の宮殿に神を招いたときに行われたと伝えられている

神がゾークの用意した美味そうな食事を食べている時に、ゾークは、
闇の呪術、魔法陣を使って、神を封じ込めた

邪悪な闇のクリスタルの中で、神は石になって、自由を奪われたという話だ

そこは、お前もよく知っていることだろう

だが、ゾークの宮殿にある図書館
そこに、悪魔の知り合いがいてな

面白い本を見つけたといって、見せてきたんじゃ
その内容をお前にも教えてやろう

ゾークはもともとはただの人間だったという

神はこの世界に、さまざまな人間を作って、お遊びになられていた

だが、神は人間がすぐに死んでしまうのをつまらなく思ったのだろう
自分と同じ、不死身の存在を作ってみたくなったのだ
そこで幾人かの特別な人間に再生細胞を授けた

ゾークはそのうちの一人だった
言い伝えによれば、ゾークは生物研究者だったということだ

ゾークは初めは神に感謝して、忠誠を誓い
今まで通り、生物の研究をして神に貢献しようとした

だが、ある時、ゾークは、自分の知識をもとに
再生細胞を悪用できることに気が付いた

再生だけでなく、あらゆる細胞を造り出すことができると分かったのだ
再生細胞を使って、ゾークは少しずつ自分の趣味に合う、とっておきの体を造り出した

黒い翼、紫の筋骨隆々の全身
そして悪魔の中でもとびっきり凶悪な顔だちだ

強靭な体が、瞬く間に再生する、まさに不死身だった

しかし、彼には、もともと備わっていた再生細胞を利用することはできても
再生細胞を造り出すことはできなかった
そこで、今回のモンスター研究所を作ったのだろう

もちろん、彼は、自分さえ不死身なら、それでもよかったのだろうがな

そうだったのか………
主人公は頷いて、話を聞き終えた

もともと再生能力のあるただの人間なら、まだ勝ち目があるのかもしれない
主人公は、そう思った

神父は、その本を最後まで、読めていなかった
その本のひとつのページがちぎられていたからだ

その本を破いたのは、ほかならぬゾーク自身

ゾークは自分を大いなる不死身の存在にするために
身体を脳をみっつ、心臓をいつつ、腕をむっつ、触手をやっつ、の大化け物へと進化させた
と書いてあったのだ

●生贄の女

さあ、この子が今日、邪神ゾーク様に捧げられる女の子だよ

神官が指し示す方向には、見知った女がいた

そう、冒頭で、邪神ゾークの手下をだまし殺した
あの女であった

お前、店はどうしたんだ??
生贄になりたいのか???

店はやめたわ、殺す役がいなくなったし
それにいいチラシが目に入ってきたのよ

ゾーク様の嫁、募集中ですって、いいじゃない??

ゾーク様のお気に入りになれば
お金も、名誉も、快楽も思うがまま
超玉の輿、ってやつよ

お前、自分は女勇者になって、邪神を倒すんじゃなかったのかよ

そう、この女はもともと、奴隷としてこの悪魔の世界に連れてこられたのだが
持ち前の器量でもって、悪魔をだまし、殺してしまった

それからというもの、悪魔を殺す、悪魔界の女勇者として、生まれ変わったのだ

ゾークは女をまるごと食らう化け物だっていうぞ
お前も食われちまえ

それは気に入らなくなった女だけでしょう??
私は違うわ

簡単に気に入られる、そしてすべてを手に入れるのよ

それに、もしその時になったら、私も勇者の端くれ
ゾークに一発お見舞いしてやるわよ

ふーん、そういうわけか
でもな、ゾークを殺して真の勇者になるのはこの俺だ

そういうわけで、生贄役を代わってもらおうか

生贄を代わる??誰と???もしかしてあんたと????
あんた、女にでもなろうっていうの??おかしな話ね

生贄は俺だ、どうせ生贄は棺の中
誰が入ろうが、開けるまでは分かんねぇだろうが

ゾーク様を狩るのはわたしよ、どっちの意味でもね
あんたはすっこんでなさい

●月明かりの教会

夜、月の薄明かりが
教会のステンドグラスに透けて
煌びやかな空間を演出する

そして、教会に人がいなくなり
時計の数字が、ちょうど0時を指したとき

巨大な邪神ゾークの像の目がぴかっと赤く光った
像全体がほのかな光に包まれ始める

巨大な邪神像の前には、白い祭壇と、その上に黒い棺が乗せられていた

ごごごごごごごごごごごごごごごごご………

邪神像と共に、祭壇が動き始める
邪神像の後ろの壁が、回転扉のように動き始めたのだ

邪神像と祭壇が、円を描いて、教会の裏側へと回っていく
そして、回転扉は半周を回ると、止まってしまった

祭壇は邪神教会の奥、邪神の宮殿に招かれたのだった

ふっふっふっふっふ………

祭壇の真正面、その宮殿の玉座に座っていたのが、邪神ゾークその人である

今日の生贄は、どんなものかな
邪神ゾークは、胸を高鳴らせながら、祭壇上の黒い棺に歩み寄っていく

どすどすどすどす………

ぎいいいいいいいいい………

はあい、ゾークさん、ごきげんいかが??

ゾーク様と呼ぶのだ
ゾークの宮殿へようこそ、お嬢さん

なるほど、可愛い女だ、今日はいい夜を過ごせそうだな

さあ、ベッドルームはすぐそこだ、案内しよう

ゾークはその大きな両腕に女の子を抱えると
ゆっくりと歩みだした

●渾身の一撃

つまらないから殺してやろう

邪神の喜んでいる姿を黙ってみていることは、つまらなかった

そろりと祭壇の下から顔を出す主人公
祭壇は、大きなテーブルを白い布で覆ってできているもので
人一人が隠れて潜むには、最適なものだったのだ

女の子を抱えたゾークの大股歩きに
主人公は音をたてぬよう素早くついていく

それから主人公は、床を強くけり、つづいて壁を蹴る
後にゾークの体を蹴って

五メートルはあろうかという、邪神ゾークの体を飛び越えたのだ
そして、不意打ちで後ろ頭から剣を突き立てた

ずしゃああああああんんん

ちょっと、ちょっと、出てくるの早過ぎよ!!
ゾーク様を狩るのは私なんだから!

くっくっく、不要なねずみが一匹、紛れ込んでいたか

無駄無駄、不死身のゾークの脳は
金属よりも頑丈な骨細胞に覆われて守られているのだ

ゾークの言う通り、主人公の刃は、ゾークの頭のてっぺんで止まっていた

しかし、私は怒っている
大事なお楽しみの時間を奪われたのだからな

小僧、私を怒らせた罪は重いぞ

簡単に殺すのはいいが、いたぶってやる

人間の男は勇者だろうと
みな、いたぶって殺してきたのだ

まあ、女だろうと
いたぶるにはいたぶって、食ってしまうのだがな
くくくくくくく………

ゾークは、女の子を右手に握りしめると
先ほど、むかっていた方向、ベッドルームへと投げつけた

きゃああああ!!!!

女の子は、ベッドルームの巨大なベッドの上で跳ね返り、どさりと落ちた

お前はそこで待っているのだ

がちゃりとベッドルームの扉を閉めるゾーク

●決戦、ゾーク

さあ、片付けてやろうかな
人間が一番苦しむ死に方は、火に包まれて焼け死ぬことだろう
お前にはこれで十分だ

ゾークは両の手に、力を籠める、するとその手のひらに炎が燃え盛った
炎は回転し、やがて球となる

ゾークフレイム!!!!

ゾークはなぜかそう叫びながら、手に持った火球を
主人公目掛けて飛ばしてきたのだ!

ちゅどーーんんん

主人公はすんでのところで、火球を避けた
主人公のいたところは、炎の爆発に飲まれ、炎上している

さあ、逃げ惑え!!

ちゅどーーん、ちゅどどーーんん

危ないながらも、火球を避けていく主人公
しかし、ついに周りは火の海
逃げ場所を失ってしまうのだった

これで終わりだな!!

ゾークは右手をくいっとひねらせると、
恐ろしい速度で火球を放ってきた

ざしゅ………!!

ちゅどーーーーんん

その時、火球は真っ二つに分かれ
主人公をそれて、壁に当たった

主人公は、高速で迫ってくる火球を
なんと、剣で切り捨てたのだ

ほお、なかなかやるな
だが、逃げ惑って、焼け死んでくれなきゃつまらないね
これからは手加減無用だ

ゾークは、炎を燃やす力を、さらに強めたようだ

ちゅどどどどどどどどどどど………

ひたすらに火球を作っては飛ばすゾーク

なかなか焦げ付かないな………

迫りくる火球をすべて、切って落とす主人公

しかし、ついに、主人公はミスを冒す
切り裂いた火球の断片が
無防備な腹へと突き刺さったのだ

じゅうううううううう………

肉の焼ける匂いがする、主人公はひざをついた

くらえ、ラストゾークフレイム!!!

ちゅどーーーーーーーーーーーーーんん

しかし、その火球も、主人公は切って落とした
再び立ち上がり、腹の痛みに耐える様子はない

なに???なぜ動ける
もしや再生したのか??

その再生能力、わたしと同じ………
さては貴様、あの遺伝子薬を、自分の体に打ったのか?
そうでなければ、考えられん

そうだ!俺はお前と同じ体になった!
そしてこれをくらえ!!

主人公は、ふたたび地を蹴り壁を蹴り、そしてゾークの体を蹴った
高く飛翔しながら剣を構える主人公

ずっしゃああああああああああああ

高熱を発する刃が、ゾークの頭を打ち付けた
さきほどからの火球の攻撃で、主人公の剣は異常なほどの熱を持っていたのだ

その剣の衝撃でゾークの頭は真っ二つに裂ける

馬鹿な………

●不死身のゾーク

やった!不死身のゾークを倒したぞ!
ガッツポーズをする主人公

くくくく……よくやったな、お見事

メインの脳をやるとはな
わたしは今、一度死んで、そして蘇った

わたしの脳はひとつではないのだよ
いわば、バックアップとでもいおうか
私には三つの脳がある

そして、ひとつの脳がやられると
残った脳の情報をつかって、ふたたび脳を復活させるのだ

みっつの脳を同時に破壊することは不可能
たとえその謎の剣を使ってもだ

くっ、そんな馬鹿な………
勇者になれると思ったのに

ゾークは、今、第二、第三の脳を使ってしゃべっている
そして、第一の脳は、再び再生能力によって
復活しようとしていた

第一の脳以外、どこにあるのかは分からない
それでも、このまま再生させるわけにはいかない

はああああああああああ…………!!!

主人公はゾークの頭を切り裂いた剣に再び力を籠める
頭のところで止まっていた熱剣は
そのまま下に突き進み、胴体までもを切り裂いた

主人公、邪神を一刀両断
ゾークの体はふたつに分かれた

どさっ………

それと同時に主人公の熱剣は、熱を放出し冷めてしまったようだ

くっ………、屈辱だよ
片足、片手だけでは立つこともできない

だが、私の再生能力は無限
すぐに再生して殺してやるから覚悟してろ

ゾークの言う通り、真っ二つになったゾークの体からは
再生細胞が湧き出して、再び同じ体を造り出そうとしていた

第二、第三の脳はどこだ????
それが分かったところで、もう熱を持っていない剣では、破壊することができない

しかし、なにかが変だ
さっきのゾークの言葉が、なにやら二重となって
主人公の脳に響いたのだ

ふははははははは………、もうそろそろ再生完了だ

その時、ゾークも気が付いたようだ
なにやら自分の声ではない声が聞こえると

ゾークは、いまだ不完全な体を、不器用に動かして
やっとのことで起き上がる

そこには、なんと、不死身のゾークが二人いた

これは、驚いたな

第二、第三の脳は、左右に分かれ、両方の体を再生してしまったのだ

●ふたりのゾーク

自分が二人いるなどと、私がこれまで生きている間、一度もなかったことだ
やあ、ゾーク君、どんな気分かね

一度死んだ、最低の気分だよ

ははは、確かにな
どうだね、私を殺したこの小僧
ふたりで協力して、こいつを殺そうか??

馬鹿を言え、こんなやつ一人で十分だ

ああ、じゃあ、殺すとするか

その役、お前に譲ってやってもいいぞ

まあ、いいだろう、私がやろうか

そういうと、左手に構えていたゾークは、主人公に向き直った

もう、火など飛ばさない、さっきの攻撃で学ばせてもらったからな
お前を殺すすべなど、いくらでもある

ゾークは、頑丈な元ある腕を振るって、爪から鋭い風の刃を
主人公に向けて飛ばした

風の旋風は、主人公を巻き込んで、切り刻もうとしたが
主人公は、また剣を使って旋風を叩き切った

ひゅううううううううううんん、

なあ、どうやら、こいつはなかなか手ごわいようだ
力を貸してはくれないか

なぜだ???確かに投げては効かないようだがな
直接、その腕でひねりつぶせばよかろう

もっともだ、それで簡単に小僧は殺せるだろう
問題はその後だよ

その後??????

しらばっくれるな
小僧に気を取られていては、もう一人のゾーク様が
何をしでかすか分からんからな

私が何をすると??

私のことを殺すだろう、まず間違いなく
なぜなら、私もお前を殺すことを考えているからだ

貴様………!!!

ふたりのゾークは、お互いに向かい合った

分かっているはずだな、三つの脳を先に潰したほうの勝ちだ
いや、一つはいまだ再生しきっていない
二つの脳を潰した方が勝ちだということだな

やってやろうじゃないか

そしてふたりのゾーク同士の戦いが始まったのだった

●潰しあい

いまだ、完全には体の再生が終わっていないふたりのゾーク

しかし、ゾークの戦いはなんといっても素早かった

遠距離から、ゾークは
先ほど主人公に放っていた風の旋風をもう一人のゾークに飛ばす
これは目くらましの効果があるのだろう

両者のゾークがそれをおこなったため、
ゾークはその旋風をいまだ治りきっていない手で抑え込んだ
手のひらが少し傷ついたが、両者はそれをチャンスだと思ったのだろう

一気にふたりとも詰め寄った
そして、傷のない腕と腕をクロスさせ、お互いの頭を掴みあったのだ

ぶしゅうううう!!!!!

ゾークの手のひらの万力ような握力が、お互いの頭と頭を潰しあう
なんともおぞましい光景だった

邪神同士の戦いはなんと迫力のあることか

うおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ

第一の脳を、潰しあったゾークは、のこりひとつの脳をかけて
再び、互いの腕と腕をクロスさせる

その手、爪の狙う先は、互いのわき腹であった

なるほど、残り二つの脳は、わき腹に隠してあったのか

ざくしゅ………!!!

そして、ゾーク同士の戦いの決着はついた

ひとりのゾークが、膝をついて、大きな体をどさりと横たえる

そのわき腹から、抜かれた腕は、右手で会った

そう、ゾークは右利きだったのだ
利き腕を持つほうのゾークが勝った
ゾークとゾークの戦いはほんのすこしの差で決まってしまったのであった

ちっ………同士討ちすればいいものを

主人公は毒づいた

●瀕死のゾーク

残った方のゾークもただではすまなかった
第一の脳である頭はつぶされ
第二の脳は、いまだ再生中
第三の脳が、かろうじて先ほどのゾークの左腕の攻撃を逃れたばかりであった

ぐううううううううう………
目が見えぬ、早く再生を………

主人公は、しゃきんと剣を構えなおす
ゾークを倒すなら、今しかない!!

主人公は、ゾークに向かって走り出す
渾身の力をこめ、足を蹴りだし、剣を振るった

ぶるんぶるんぶるんぶるん、ざしゅううううう………

ゾークの残った最後の脇腹の脳に、剣を突き立てた主人公

しかし、その剣は、奥深くへと差し込むことができない

くそっ………

ぐうううううう………
この後に及んでうっとうしいやつめ
貴様には私は倒せん

そうだな………

主人公は、ぶしゃっと剣を引き抜くと
深刻な面持ちになりゾークに言った

お前は殺せない、それは分かった

だから封印する

なに………?

●神の封印

これは、仲間である教会の神官から聞いた話であった

100年前にゾークは最初の神を呪術によって封印した

じゃあ、その封印された神はいったいどこにいるのか
封印されたのはゾークの宮殿の中

そこから遠くに動かすようなことはしない

自分の宮殿の近くに置いておくのが一番安全なんだ

そして隠すのは、誰もが入りこめない、出てこれない場所でなければならない

神が封印されている場所
それはこの教会が所持している、地下の墓の迷宮だ!
悪魔やモンスターのゾンビが徘徊しているいわくつきのダンジョン

それをゾークは、百年かけて、作り上げたんだ

そしてそのダンジョンの最奥に、神のクリスタルと最奥、ゾークの宮殿のちょうど地下にあたる場所
史上最強のモンスター、ゾンビベヒーモスを残したといわれている

その地下の最奥の真上に建っているのが、まさしくゾークの宮殿なのだった

●宮殿の地下

このすぐ下に、地下のダンジョンの最奥があり、神が眠っている………

主人公は、意を決して、自分の長く大きな剣を振りかざした
そしてその切っ先を、地面、地下に向けて振り下ろす

ざくしゅ!!!!!!!

主人公は地面に立てた剣を、今度は引きずるように滑らせ
邪神ゾークを中心にして、大きな円を描いた

ずざざざざざざーーーーーーーーーーー!!!!

ざしゅっ………

地面に円を描き終わったそのとき、主人公は跳ね、
その勢いを利用して、ゾークの大きな翼を、叩き切ったのだった

ぐうううううううう………
なにが起こった?????翼が………

落ちていく、落ちていくぞ!!!!!

お前はこれから地下に封印されるのさ、何百年もの間ね

うおおおおおおおおおおおおおおおお………

円を描いた宮殿の床は、ゾークと共に、ずるりと沈み込んで
地下のダンジョンへと落ちていく

どがああああああああああああんんん………

とうとう地下のダンジョンへと、ゾークが落ち込んだようだ

主人公は円の穴をのぞき込む、すると地下で、一匹のモンスターが
ゾークに襲い掛かっているのを見た

さては、あれが地上最強の生物モンスター、ベヒーモスのゾンビか………

主人公は、懐から、白衣の男から奪ったひとつの銃を取り出す
不死身の薬剤が入った注射針の銃だ

それを主人公は、地下のベヒーモスに目掛けて打ち込んだ

ぷすっ………

けけけ………これであいつもおしまいだ

最後に、この宮殿に空いたこの大穴を、封じなければならない

しかし、主人公には、それもどうするか、ちゃんと考えてあった

●戦いを終えて

おーらい、おーらい、おーらい

呼び出した悪魔たちは、従順に働いた
邪神ゾークを封印するとあっては、みな大喜びだったのだ

悪魔たちは今、大きな邪神のゾークの像を、十数人がかりで持ち上げて
宮殿の床の大穴の上に落としてふさぐところであった

どっこいせーーーい

ずざざざざざざ………

これで見事、邪神ゾークは地下深くのダンジョンに、不死身のべぴーもすとともに
封印されたのであった

この封印を破るのはゾークと言えども、並大抵のことではないだろう

出てきたところで、主人公はすでに、ゾークの弱点を知っていた

そう、この話はこれでハッピーエンドなのである

当の主人公といえば、残った悪魔たちにすべてを任せ
自分はゾーク宮殿のベッドルームへと向かっていた

そう、見事勇者となり、お楽しみの真っ最中だったのである


End